前回は テンセグリティ を3Dプリントしたものの、鎖構造の造形に失敗しました
ですので、今回はその失敗原因を克服します
その指針は、①鎖を大きくすることで造形しやすくすることと、②鎖部分のサポート剤を手動で設置することで鎖同士がつながらないようにすること、の2点です
これによって、前回のような「鎖同士がくっつきあったままとれない」という状況を克服します
そこで、このような設計指針を満たす構造として、改良を加えたものが下に示す通りです
鎖の構成単位である単一の輪っかをできるだけ大きくし、輪っかの総数は減らすようにしています
また前回は述べていませんでしたが、こちらの構造はおそらく、その複雑性のため、このままでは印刷できません
その原因として挙げられるのが、天井にある空洞内部を鎖が貫入している箇所です
空洞内でまた別の物体が印刷されるという複雑な事態を避けるため、鎖は曲げてやることにします
下の図のように、この操作を3つの全ての鎖に対して行います
これによって、鎖が空洞内を貫入するという複雑性を解消します
さて、これにサポート材をつけましょう
上から見た図は、こちらになります(下)
一度、自動でサポート材を設置してから、鎖同士をつないでしまっているような不要なものを除いています
さらに、不要なサポート材を除いた分だけ、手動でサポート材を足しています
基本的には、鎖を下から支えるようなサポート材を意識してとりつけます
加えて、印刷物全体がビルドプラットフォーム全体に広がるように設定しておくことで、造形の解像度問題を克服できます
それでは、早速印刷です
今回は3時間28分かかりました
不眠症を利用し、印刷直後の22時に寝て1時に起きたことで、その後の作業にスムーズにとりかかりました(助けてくれ)
できた構造は上の図のように、意図した通りとなっています
ここからはサポート材を丁寧かつ慎重に取り外すという労働になります
ビルドプラットフォームから取り外された姿はこの通り(上)
下側の鎖から取り外すのが一番やりやすそうです
まずは、鎖を一本取り外せました
意図通り、柔軟であることが写真からもわかるとおもいます
2本目のサポート材も頑張って取り外します
ただの肉体労働です
そして3本目の鎖に取り掛かろう、というときに一つ問題が生じました
鎖同士が融合してくっついてしまっていたのです
しかし大丈夫でした
かなり先端のほうだったので、その部分を切り離しても、残りの鎖は十分な長さがありました
(あぶない。。。)
というわけで、3本目までサポート材を除去するとこうなります(上)
最後に、中央のサポート材を除去することで得られた真の姿がこちらになります
ちゃんと柔軟な構造になっています
あとは二次硬化してから、それぞれの鎖を天井の爪に取り付けるだけですね
完成です
見た目的には、バランスよくしあがっています
鎖の長さは、単一鎖内のどの輪っかを爪につなぎとめるかによって決められますので、自分次第でバランス調整できるということになります
最後に、いろいろ触ってみることで、その挙動を調査しました
動画で示します
押しても倒れず、ひねるような動きを加えても倒れません
さらに予想以上であったのが、天井部分を持ち上げても構造が保持されたということです
ただよく考えてみると、それは当たり前なんですね
もっと驚きに値することとしては、床部分を上にしてもちあげてみても、構造が保持されたということです
これは爪と鎖の輪っかがうまい具合に噛み合っていることで実現できたということになります
以上をもちまして、3Dプリントした材料だけでテンセグリティ構造を実現できました
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
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