金属の3Dプリントって難しいイメージがありますよね
それは、従来では主には”金属を焼結させる”という方法しかなかったからです
そこで、これに対する解決策がNatureに掲載されました
「ヒドロゲルを3Dプリントし、これを金属に変換してしまおう」という解決策です
どういうことか、これを下の図に示します
まず、光重合という”液体の硬化反応”を用いてゲルという柔らかい物質を3Dプリントします
これは従来からある方法です
この反応は有機物質の反応ですから、これによって生成するものも有機物質(ポリマー)であり、やわらかいため、まだ金属とは程遠いです
しかしこの柔らかいポリマーはゲルといって、中に溶媒(液体)を含むことができます
そこで、その液体の中に、Cu(NO3)2といった金属イオンを導入することができます(NaClといった塩と同様のものと考えてもらって結構です)
すると、ここでできるのは、Cu2+という金属イオンが入ったゲルということになります
これはさらに700℃という高温条件に曝されることで、金属が揮発することはありませんから、形状を保ったまま金属酸化物に変換することができます(ただし収縮はおきます)
最後に、この金属酸化物(CuO)を還元してあげることで、対応する金属(Cu)を得られるというわけです
金属を光重合するのは当然不可能なわけですが、結果的にそれをやるのと同等の結果が得られたということになります。すごい!
また、この方法では、同じゲルから複数の金属がつくれるため、金属にあわせて反応条件を最適化する必要もありません!
解像度に関しても40 μmレベルであり、従来では困難だったレベルとなります
以上、新しい3Dプリントの革新的な技術でした
引用
Saccone, M.A., Gallivan, R.A., Narita, K. et al. Additive manufacturing of micro-architected metals via hydrogel infusion. Nature (2022). https://doi.org/10.1038/s41586-022-05433-2
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